通訳という職業は、一般的にどういったイメージがあるものでしょうか。通訳者として色々な方とお会し、感じるのは、人前で話す事を要求されるからか、どうやら通訳自体には華やかなイメージがあるということです。実際のところはどうなのか、私が通訳者として実務をこなすなかで感じてきたことを書きたいと思います。
通訳としての異なる働き方
私が通訳を始めたのは14年前。バイトの逐次通訳から初め、その後社内通訳を経験しました。現在は、フリーランスとして活動しながら同時通訳にも挑戦し、始めた当時とは通訳形態や業務形態が大きく変化しました。一口に通訳と言っても、雇用形態により働き方は異なります。
まず、社内通訳は、企業専属でフリーランスと違う点があります。収入は安定し、会社や同僚からメンタル面、体力面、事務面などのサポートもあるので、通訳業務に専念できる環境があります。自分が好きな業種であれば、その分野の知識もどんどん増え、有意義な経験もできると思います。
最近は英語ができる一般社員の方や、日英+他言語を喋れる方もいらっしゃいますので、これからの日英社内通訳者は、専門性などの強み+もう1言語などが必要とされるような時代になってくると思われます。
フリーランス通訳者の場合、通訳だけで生計を立てようと思うとかなりの体力が必要です。既に相当レベルの高い方は違うかもしれませんが、私の場合、特に駆け出しの数年などは、「どうしようこの仕事…..」と思っても選んでいる余裕はありませんでした。そして、通訳業務以外にエージェントとの交渉、スケジューリング、事務作業、書類準備他、自分でやらなければいけない事が沢山あります。
プラス面は、やればやるだけ得られる実績、お客様の期待に応じたいという気持ち、目の前のお客様は1人でも、その方から広がる多くの方々への影響をビジュアル化すると、誰かの役に立ってるんだという実感。そして、「ありがとう、助かりました。」という一言。こういった事が次の仕事へのモチベーションとなります。
経験を通じて実感する通訳という職業の実態
これらの実務経験から私が得た通訳という職業の実態は、いずれの働き方にせよ、数十枚から数百枚に及ぶ英語資料の事前読み込み、準備に取り組むほど時間不足で緊張感が極限までかかったり、専門性が高い内容は激しい脳疲労も感じたりします。現場では、事前に準備していても資料にない専門用語が出たり、スケジュールが告知なく変更になるなどアクシデントはつきものです。
また、お客様とお会いする当日に頑張っても次のチャンスは保証されてないなど、不安があってもそれを見せずプレッシャーを乗り越える度胸、初対面のどんな方とも会話できる対人力など、言葉以外の能力も必要とされます。
このようにメンタル面のタフさも要求され、私は華やかだと思いませんが、いろんな経験ができたり、普通ではお会いできないような方とお話できる機会があったり、常にいろんな知識や新しい事を吸収していけるという点を楽しめる方にとっては、やりがいのある職業だと思います。
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