「通訳」というと、どんなイメージがあるでしょうか。目にしたことがあるのは、テレビなどで雲の上のハリウッドスターやスポーツ選手のインタビューを訳す姿や、メディアで取り上げられる放送通訳、国際会議通訳など、第一線で活躍するエリート的な人くらいで、自分とはあまり縁がない人、という感覚が一般的かも知れませんね。

実際のところ、通訳の仕事は多岐にわたり、色んな方がいます。利用者が通訳者に直接依頼ができる通訳サーチでは、もっと通訳という職業の人を身近に感じ、利用を考えていただける機会が増えていくよう、登録通訳者の方にお話を聞き、掲載していきます。

第2回目は、シンガポール在住の藤野裕子さんです。フリーランス通訳として幅広い経験をお持ちですが、最近のお仕事は医療通訳が主となっているそう。海外の医療通訳の現場について興味深いお話を聞かせてもらえそうです。また、新型コロナ禍におけるシンガポールの通訳事情についてもお伺いします。

 



自分がいることで安心してもらえるならと思い現場に向かいます

ー クライアントの不安が払拭されることを喜びに

 

 

【プロフィール】

お名前:藤野裕子さん

通訳言語:英語、日本語

在住地:シンガポール

出張可能エリア:シンガポール

対応通訳形態:ウィスパリング通訳、同時通訳、逐次通訳、医療通訳、IR通訳他

豪クイーンズランド大学大学院(MAJIT)卒業。医療通訳技能検定1級合格。シンガポール在住歴は約13年。オーストラリアの大学院で通訳を専門に学び、シンガポールの日系企業にて幹部付きの社内通訳として勤務したのち、現在はフリーランスとして活躍するかたわら、通訳の訓練メソッドを取り入れた英会話レッスンも実施中。

詳細は通訳サーチプロフィールに。

 

母に強く背中を押された留学体験から英語の道へ

Q:通訳の仕事をするようになったきっかけを教えてください。

高校時代にオーストラリアに留学したのが、英語を本格的に学びたいと思うようになったきっかけです。とはいえ、留学は自分の意思でなく、英語を学ぶよう勧める母に強く背中を押された格好だったのですが。

行ってみたら留学生活はとても楽しく、英語に対する興味が深まりました。日本の大学で言語学を学び、その後、大学院で通訳の技術を習得するため、再びオーストラリアに戻ったのです。

大学院を修了して求人を探したところ、シンガポールの日系企業の正社員の社内通訳として就職できたので渡星、現地の人と結婚し、そのまま暮らしています。

 



 

新型コロナ禍で医療通訳が仕事の中心に

Q:新型コロナ禍のシンガポールでの通訳事情をお聞かせ願えますか?

シンガポールの通訳の需要は、元々、日本からの出張ありきでしたが、新型コロナ禍になり、日本から来る人がいなくなってしまったので、通訳の依頼は激減しました。

私はたまたま、新型コロナ禍直前の2019年に医療通訳技能検定1級を取得していたこともあり、現在の仕事は在住日本人向けの医療通訳が中心になっています。

 

Q:医療通訳の検定を受けたのはなぜですか?

医療通訳に強い興味があったという訳ではないのですが、登録したエージェントに医療通訳の案件が多いところがあり、仕事をする機会が増えました。

当地には日系のクリニックがあるので、日本語でも診療は受けられるのですが、難しい専門治療となるとローカルの病院に行く必要があります。ですので、通訳が必要になるのは複雑な用語が必要な場合がほとんどです。

しかし、症状は人それぞれで、事前にどんな病状の診察か聞いて予習していても、思いもよらない用語が出てくることがあります。例えば、口の症状で診察に来ても、既往歴を聞かれたら、まったく別の部位の病気の名前が出てくるなんてことも。

そんな経験をするうちに、もっとスムーズに医療通訳ができるようになりたいという気持ちを持つようになり、資格の試験勉強を始めました。

 



 

Q:医療通訳には難しい面が多いようですが、どんなモチベーションを持って続けていますか?

例えば、事前に患者さんの病名や症状がまったく分からない時など、きちんと訳せるか心配になることもありますが、それでも、不安な気持ちでいる患者さんにとって自分がいることが支えになれば嬉しいと思い、現場に向かいます。

また、ある時、それまでの治療で医者と意思の疎通が上手く図れておらず悶々としていた患者さんからの依頼で、事前に聞いたお話から、双方の思いが合致することは考えられず、これはハッピーエンディングはないなと覚悟する案件がありました。

それでも、患者さんの気持ちを医者にきちんと伝えることができるよう、一語一句漏らさず、できるだけ忠実に訳したところ、最後に患者さんが「満足しました」と言ってくださいました。そんな風に、クライアントが納得できる結果が導けたと思える時など、やっていて良かったな、と思います。

 



 

習得した通訳訓練メソッドを活用したレッスンも提供

Q:英会話レッスンもされているそうですね

以前、仲間と同時通訳の練習をしていたコワーキングスペースで、日本人向けの英会話教室を共同開催しないかと誘われたのをきっかけに、講師としての活動もやっています。

現在はオンラインで、大学院や、その後もコンスタントに続けている同時通訳のレッスンから得た通訳の訓練メソッドを英会話学習に応用したプライベートレッスンを実施しています。

大学の時に高校の英語の教員資格を取得していることもあり、人によって合う学習方法を考えて提案することができるので、それぞれの方の英語表現が広がるようカスタマイズした、きめの細かいレッスンを提供しています。

※ レッスンの詳細については藤野さんのHPに掲載。

 

ー 流れに身を任せるように医療通訳のお仕事をされるなかで、責任を持って遂行するために資格も取る真面目な藤野さん。IRや国際会議、スポーツ関係の案件も増やしていきたいとおっしゃり、いつでも受注が可能なようにオンラインでの同時通訳練習を欠かさずスキルを磨いているそう。今後のますますのご活躍が期待されます!

 

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【通訳ってどんな人? vol.2】シンガポール在住 藤野裕子さん

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